世界最大の
ターナー・コレクションを誇るテイト美術館から油彩画30余点、水彩画約70点を展示。
風景画家として
西洋美術史に輝く足跡を残した
ターナー。1775年ロンドンに生まれ、26歳の若さでロイヤル・アカデミー正会員に。早くから才能を開花させ、画家として成功をつかんだ。
( 画像はカタログより)
「平和ー水葬」 1842年 船や海峡風景の輪郭は光と影、大気の中に融けだして、黒々とした帆影以外、全てがもうろうとしている。
「レグルス」は過去の名画から学んだ構図と、光と大気を描きだす独自の表現。
「グリゾン州の雪崩」 最も印象に残った作品。
天災の情景を
ターナーが持てる限りの技術を駆使した最初の油彩。力強い表現効果が達成されている。
過ぎた栄華の歴史にひかれた、といわれている。
得て描いた作品。
…「あの松を見給え、幹が真直ぐで、上が傘のように開いて
ターナーの画にありそうだね」…
この写真は以前に見た時のカタログからの油彩画、殆ど同じ。
ターナーの絵は油彩水彩どちらも力強く、分かりにくい。
橋のうえに聳え立つ山々の組み合わせと、同時に橋の下の深淵な峡谷に流れ落ちる急流が、観る者に目の
眩むような効果を与えている。
名声に甘んじず、絶えず新たな表現を追求した
ターナーの風景画は晩年、極限まで抽象化してゆく。
実際に作品の前に立つと、画中の空気の潤いまで感じられる。
朦朧とした晩年の絵、若い頃からの画業を見ているからこそ、深い色彩と奥行きが感じられ、暫し感嘆。