牛歩母日記?

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ターナー展 10/24

去る10/24 東京都美術館での「ターナー展」に行ってきた。英国美術を代表するターナーの回顧展。
世界最大のターナー・コレクションを誇るテイト美術館から油彩画30余点、水彩画約70点を展示。
風景画家として西洋美術史に輝く足跡を残したターナー。1775年ロンドンに生まれ、26歳の若さでロイヤル・アカデミー正会員に。早くから才能を開花させ、画家として成功をつかんだ。
 
ターナー展」は以前(1986年)にも国立西洋美術館で見ているが、好きな画家なので再度。
                                                    ( 画像はカタログより)
 
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「平和ー水葬」 1842年     船や海峡風景の輪郭は光と影、大気の中に融けだして、黒々とした帆影以外、全てがもうろうとしている。
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「レグルス」は過去の名画から学んだ構図と、光と大気を描きだす独自の表現。
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「グリゾン州の雪崩」  最も印象に残った作品。
天災の情景をターナーが持てる限りの技術を駆使した最初の油彩。力強い表現効果が達成されている。
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ヴェネツィア、嘆きの橋」 1840年 60歳近くなって、特に心を寄せた都市、建物が水に浮かぶ独特の景観と、
過ぎた栄華の歴史にひかれた、といわれている。
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「チャイルド・ハロルドの巡礼ーイタリア」 1832年   ターナーが同時代の英国の詩人バイロンの詩に霊感を
得て描いた作品。
英国に留学した夏目漱石は強い印象を受け、後に小説「坊っちゃん」にその姿を登場させている。
 
…「あの松を見給え、幹が真直ぐで、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね」…
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「悪魔の橋」サン・ゴッタルド峠  1802年  (水彩)
この写真は以前に見た時のカタログからの油彩画、殆ど同じ。
ターナーの絵は油彩水彩どちらも力強く、分かりにくい。
 
橋のうえに聳え立つ山々の組み合わせと、同時に橋の下の深淵な峡谷に流れ落ちる急流が、観る者に目の
眩むような効果を与えている。
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名声に甘んじず、絶えず新たな表現を追求したターナーの風景画は晩年、極限まで抽象化してゆく。
 
実際に作品の前に立つと、画中の空気の潤いまで感じられる。
朦朧とした晩年の絵、若い頃からの画業を見ているからこそ、深い色彩と奥行きが感じられ、暫し感嘆。