増田常徳展4/01
大分前になるが、丸木美術館にて「JOTOKU 2014 ー闇の羅針盤ー」を鑑賞。
増田常徳氏の個展は以前にもみている。そして講演も聴いて感銘を受けた。
長崎・五島列島出身の画家・増田常徳は切支丹の迫害や戦争の歴史を出発点に、原爆など人間のもたらす
不条理の深淵を見つめてきた。そして福島原発事故後、絵画で問い続けてきた数少ない画家のひとり。
「3・11」を経て私たちの生きる世界はどう変わったか、芸術が記憶を語り継ぎ、忘却の防波堤になるとするならば
除染 沈黙
春浅き原風景、美術館より眼下を望む
ナガサキ(嘆きの聖母・暗) 死の僧院
丸木美術館の窓からから眺める都幾川と比企の山々 桜の花がチラホラ
絵画に携わるものはつねに「美とはなにか?」を考えている。
かって人類は美しい物を創造してきたが、今は空を、海を、地上を汚染し、人間の心の中まで汚れてしまった
(木下恵介監督が語ったもの)
美とは視覚で捉えられる表層的なものをいうのではなく、混沌たる暗い闇の中に希求してやまない。
我々はこのこの苦しみを共有し、過ちを悔い改め、暗い闇の向こうにこそ「美を求め」突き進むことに価値があり、
希望も生まれる。(画家 増田常徳より)
作品の前に立つと、その深い心情に、吸い込まれそうになる。画家の慟哭を感じ、この苦悩と憤りを自分の事として美を追求し表現しなければと、改めて思う。